オンラインセミナー「基礎研究者のための『社会とつながる』情報デザイン&コミュニケーションセミナー」を開催しました(3/17)
2021年3月17日に、株式会社クレメンティア代表取締役 荒尾裕子氏と株式会社OWLS代表取締役 横山理佳氏をお迎えして、主に基礎研究者の方を対象としたセミナーを開催しました。
講師の先生方は、複数の分野にまたがる研究者との産学連携や共同研究の分野でご活躍されています。
社会はどう変化しているのかを知り、ご自身の研究内容と社会課題を結び付けたうえで、他者へ効果的に伝えるための研究情報の種類、情報のつなげ方を学びました。
株式会社クレメンティア代表取締役 荒尾さんは、研究機関や大学の研究員としても活動されている他、ご自身の会社でコンサルタントとしても活躍されています。
基礎研究は社会と遠い存在だと思われがちですが、昨今の困難な社会課題に対し、基礎研究の知見を活かしたスピード感のある社会実装が必要になったことで、実は距離がとても近づいてきていることをお話いただきました。
さらに、多くの企業がSDGsを掲げ、社会課題の解決に取り組んでいるので、ご自身の研究と照らし合わせて社会との関りを見つける方法があることなどをご説明いただきました。
株式会社OWLS代表取締役 横山さんは、現在はご自身で会社を設立され、生活産業の事業プロデュースや研究の社会実装を支援していらっしゃいますが、以前は企業で研究開発に従事されていました。
横山さんからは、企業が求めている研究者に出会うことができない理由や、研究者が研究PRを作る際に、どのような視点で作っていけば良いかを実践的に教えていただきました。
また、大学内にいるとなかなか知ることのできない研究者に対する企業や社会からの印象や、求めている「パートナー」としての研究者についても詳しくお話いただき、研究内容を受け取る側に立って研究情報の棚卸をすることが必要だと教えていただきました。
おふたりは現在、本学において研究者のアウトリーチコンテンツ作成支援として、研究内容のわかりやすい伝え方や、資料作成の個人コンサルテーションをご指導いただいています。
講義の後には質疑応答の時間があり、参加者の方から多くのご質問をいただきました。
※開催当日にはお答えしきれなかった内容で、後日講師の方から回答をいただいたものの中から一部抜粋してご紹介します。
- Q. マクロ視点とミクロ視点のバランスを磨くトレーニング法はありますか?
- A. 荒尾氏:日常のニュースなどを使ってGDPなどの経済面や、新政策などの政治面、宗教や文化などの変化をマクロ視点としたときに、その変化が自身の生活や研究分野などにどのような意味を持つのかなど、常に社会との距離感を意識して物事の2面から見る癖をつけていくことで、ミクロ視点とマクロ視点を同時に持つトレーニングになると思います。
- A. 横山氏:正反対の知識や意見を持っている方とお話しすると、マクロ視点が磨かれるといいますので、試してみてください。
- Q. どれだけ俯瞰して見ているつもりでも、自分の専門性や価値観を反映した景色しか見えてこず、社会・とのつながりは限定的なものになってしまいます。大学が得られる業界トレンドの情報は古く、皆が取り組んでいるものだったりして個性が発揮しづらいです。
- A. 荒尾氏:最近は企業の中では業界というくくりの壁自体もなくなりつつあります。企業も陥りがちなのですが、自分たちが業界だと思って、その中でライバルと競っている間にまったく異分野の業界があっという間にその領域の市場に頭角を表してくるということが起き始めています。ご自身が業界と思っているスコープ以外の部分に実は、接点や可能性があることもありますので、まずはフラットに社会をみながら、自分がそことどう接点がありそう(できそう)そんな視点で日々のニュースなど情報を見るということを意識してみてください。
- A. 横山氏:地味な作業ですが、できるだけ「一次情報」に触れて、「ご自身がそれを見てどう感じるか」を書き留めておくとよいと思います。「紙の新聞で、業界に関する記事をくまなく読むこと」「企業のリリースをみること」「街を歩くこと」「地域コミュニティで多様な方と”雑談”をすること」をお勧めします。
荒尾様、横山様には「研究」と「社会」をつなぎやすくするための多くの貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。学内・学外のみならずKNIT協力機関、KNIT共同機関より定員に達するお申し込み、ご参加をいただきました。参加者の皆様、誠にありがとうございました。
本セミナーは、オンデマンド配信をします。ご視聴にはお申し込みが必要です。
詳しくは こちら