KNIT a Network!ロールモデル紹介番組「企業での研究生活といろいろキャリア~多様な拠点で事業を展開する日東電工株式会社編~」開催報告
「KNIT a Network!ロールモデル紹介番組」は、研究に携わるいろいろな人の生活、いろいろな人の人生から、キャリアや暮らしの参考になるTIPSを提案するオンライン配信企画です。2021年度のテーマは“MY LIFE”。
生涯の中で、働く場所や環境、暮らす場所や環境は一つとは限りません。選択は人それぞれ。
毎月、ゲストのこれまでの経験や選択についてお話を伺っていきます。
8月は、「北海道ダイバーシティ研究環境推進ネットワーク(KNIT)連携機関のひとつ、日東電工株式会社 全社技術部門核酸医薬開発本部企画部企画グループ 課長 松縄 彩子さんにお話を伺いました。
レポート
松縄さんが働く日東電工株式会社は、1918年に創立、連結の従業員数は28,000人を越え、世界28ヶ国と地域でグローバルに事業を展開しており、自動車他輸送機器、社会インフラ、家電・電子機器等、様々な業界に幅広く製品を提供している会社です。
次世代モビリティ、情報インターフェイス、ヒューマンライフという3つの重点領域を戦略的に強化し、新たな事業の創出に取り組み続けています。
日本の全社研究開発は“inovas”を拠点に、さらに世界各地に研究開発拠点を構え、世界のニーズに応えていること、inovasは共創のための革新的なレイアウトになっていることをご紹介いただきました。
日東電工株式会社のライフイベント支援制度として、在宅勤務・短時間勤務制度・育児介護フレックス制度や、一度辞めた人が戻って働くことを可能にするウェルカムホームプランなどがある事もご紹介いただきました。
このような企業で働く松縄さんですが、現在までどのような人生のターニングポイントを経てきたか、今回もお話いただきました。
<松縄さんのターニングポイント>
1. 新卒で日東電工に研究職として就職、メディカル事業部配属
2. 2年後に参加した米国での国際学会で、そこで競合の多さ、ビジネスのスピード感に衝撃を受け、ビジネスも面白そうだなと感じる。
3. 3年後、米国ベンチャーとのコラボ開始を機に米国共同開発先へ派遣される。帰国後、研究職から企画職へ。製品の販促、周辺業界の開拓などが主な業務に。
4. 結婚(週末婚)し、夫の米国赴任中に米国で出産。
5. 復職し、子会社へ出向後、核酸創薬を行う新部署に異動。
6. 第二子出産し、産休から復職後、所属する部署の知財戦略担当に。もともと知的財産を扱う業務に苦手意識があるも、知的財産と向き合う決意をする。その後、知的財産を専門に扱う部門へ異動することとなるが、仕事と家庭の両立がうまくいかず、スランプに陥る。かっこいい姿でいたい理想像から、だれかに悩みを話すことはなかったが、周囲がそんな松縄さんに気が付き、話を聞いてくれたこともあったそう。
7. 核酸医薬企画部に復帰。
松縄さんのキャリアは研究職から始まりましたが、ビジネスに関心がでてきた時には、上司にビジネスがやりたいとアピールしたそうです。
また遠距離でのお付き合いから週末婚に至った松縄さん。平日は思い切り仕事をして、仕事仲間や友人との時間も楽しみながら、パートナーとの時間も確保するスタイルはとても楽しかったとお話されていました。一方で、家族から、“このままでいいのか”と問われたり、出産を考えた時に、働き方について悩んだそうです。その後パートナーがアメリカへ単身赴任中に妊娠が判明したため、せっかくなのでと思い切ってアメリカでの出産を経験し、この時が初めての共同生活だったとお話されました。
第二子の出産後は、仕事に思いきり時間が割けない事や環境の変化へ付いていけず、就職してから一番のスランプに陥ったそうです。仕事や家庭が思い通りにいかず、体調も万全ではない中、周りの人に悩みを発散する事で復活したそうです。自分から悩みを打ち明けるタイプではない、という松縄さん曰く「周りの気づきや声掛けに救われることがある」と、現在も在宅ワークが多い中、「同僚にはいっぱい電話しちゃう!」と会話を大切にされている様子が窺えました。
続いて、現在のリアルな一日のスケジュールを教えていただきました。
<松縄さんの1日>
仕事の日:5時半頃起床、お弁当づくり洗濯朝ごはん。8時始業。最近は在宅勤務が増えている。朝メールチェック、8時からミーティング(アメリカとの時差の関係で8時開始)。1日に3、4件の打合せが入る。至急案件に対応する事も。18時半ごろ子ども迎え、夕食準備。23時就寝。
お休みの日:中学生にお弁当もたせる。小学生のおけいこ送迎。お友達が来る事も。合間に家事。夫が夕食つくる。(「休日は子どものスケジュールを軸に過ごす」とのこと)
海外と仕事をするときは、時差のため早朝から仕事に取り掛かる必要があることや急な案件でスケジュールを臨機応変に対応されていることを共有いただきました。
事前にいただいていた「女性はキャリアか結婚・出産のどちらかを選ばなければならず、キャリアをまい進したくてもいつかやりたかったことを諦めなきゃいけないと思うと不安だが、両方を実現して活躍する事は難しいか?また女性特有の過ごしにくさを感じたことはあるか?」という質問に応えていただきました。
「男性だから」「女性だから」といった過ごしにくさは、松縄さんは感じたことはないそうです。松縄さんがご専門とされる、ライフサイエンス分野は女性が多く活躍しているとのこと。「学生の方は研究で行きたいと思うかもしれないが、人生何があるかわからないので、関係しているものには視野を広げていくと、もしかしたら選択肢が広がるのではないか。みなさんの時代にはもっと選択肢が増えていると思う」、とお話しいただきました。
ここで本編は終了となりましたが、その後もアフタートークに20分程お付き合いいただきました。
アフタートークでは、就職活動は自分を見つめ、自分が何をしたいのか初めて気づくきっかけになったというお話や、スランプをどう脱したか、等々の話題でRee-D藤井と話が弾みました。
ゲストにお越しいただいた松縄さん、大変貴重なお話をありがとうございました。そしてご協力いただきました日東電工株式会社の皆さまに御礼申し上げます。
最後ではございますが、ご視聴いただいたみなさま、誠にありがとうございました。
次回もお楽しみに!